本格的な家電リサイクル
民間企業が調査した「2005年版アレルギー性鼻炎(花粉症)患者数の動向」というレポートに、花粉症の全国推計一受療患者数は約800万人花粉症の全国推計有病者数は約2,200万人という数字が出ていた。
支払金額など個人差があるから、あまり意味がないと思いながら、前で述べた花粉症のために支払った費用を、この800万人の患者にあてはめてみると、なんと365億円というとんでもない金額になるではないか。
それも、旧科学技術庁の調査から、ぼくが推計した5720億円という数字に近づいているのだ。
ただ、実際の有病者は2200万人もいるのだから、この数字はもっと大きくなるだろう。
たとえば、花粉症の症状がありながら治療していない人(2200万人から800万人を引いた1400万人)に、僕の支払い金額から治療費を差し引いた額をかけると8526億円。
これに800万人が支払った金額を足すと、1兆5891億円だ。
あまりに多すぎる。
気を取り直して、ごく控えめに抑えた次のような計算をしてみた。
ぼくが花粉症に支払う費用の8割なら7万3653円。
これを治療に通っている800万人が払ったとすると5892億円になる。
全有病者数2200万人のうち、800万人を引いた1400万人は、病院で治療せずに市販薬やサプリメントで我慢している人たちだ。
この人たちが使った金額を推定してみよう。
ぼくが使った9万2067円から治療費の3万1167円を差し引き、さらに、有病者といっても軽い人もいることを考慮して、おおむねこの4割を払ったと仮定すれば2万4360円だ。
これを1400万人の人が使えば3410億円になる。
これを先の治療に通っている患者が払った金額とあわせると、9302億円。
ぼくの支払った金額の2割減、6割減で計算してこの金額なのだ。
ここには花粉症のために仕事がはかどらないといった労働損失の額は含まれていないし、経済的な損失も除外している。
つまり、9302億円という金額はミニマムと考えるべき巷間に、ぼくたちは花粉症のために1兆円以上の費用を払っているのではと曝かれたりする。
こんな計算をしていると、1兆円を超えているのはほぼ間違いないように思えてくるだろう。
「スギは全部伐ってしまえ!」「関東地方のスギ花粉発生源分布」というのを見て驚いた。
ぼくが住んでいる関東では、太平洋に抜ける南側をのぞき、3方が広大なスギ林に囲まれているのだ。
つまり、春は南風以外の風ならすべて、大量の花粉を運んでくるということだ。
国が補助金を出して植えさせたこれらのスギが、いまや大量の花粉をまき散らし、日本中に花粉症患者が満ちあふれている。
そして、GDPのたった1%にも満たない林業のために、ぼくたちは毎年、財産を掠め取られ、林野庁は3兆8000億円もの借金をつくってしまったのだ。
「平成4年度森林・林業白書」によれば、2004年(平成16年)の林業産出額は4374億円となっている。
これは木材のほかに、キノコ類や薪炭の生産額も含んだ金額だ。
このうち「木材生産額」は2205億円で、この中からスギの産出額だけを見るとわずか925億円にすぎない。
ぼくたちは925億円を産出するために、ミニマムで3倍の9302億円、マックスで4倍の1兆5891億円という途方もないお金を浪費しているのだ。
国が、拡大造林という馬鹿げたことさえしなければ、払う必要がなかったお金である。
そのうえ、植林されたスギが日本の財産になるのかと思ったら、手入れされていないスギ林の多くは台風などで倒れていくのだという。
文字どおりゴミの山をつくるために、ぼくたちは毎年、税金のように治療費を払っているのである。
「日本中のスギは全部伐ってしまえ!」という声があがるのも当然だろう。
暴論には違いないが、花粉症の人ならきっと共感できるはずだ。
ぼくだってそうだ。
許されることなら、スギなんてぜんぶ伐採していただきたい。
ぼくたちが受ける経済的苦痛、精神的苦痛にくらべたら、伐るほうがはるかに楽なはずだ。
だけど、森の生態系を調べていくうちに、これはやはり暴論なのだと気づいた。
それはこういうことだ。
皆伐して針葉樹の人工造林をするとかなりの年月表層土が流れやすく、土地の侵食作用を引き起こします(「森林はモリやハャシではない」)とSさんが書いているように、森の木を全部切り倒すと、地面が丸裸になり、雨が降ると雨水は一気に流れてしまう。
すると、雨水といっしょに表層の土砂が流されたり、場合によっては土石流となって斜面を崩壊させかねない。
洪水の原因になることはいうまでもない。
明治政府が日本に招いたオランダ人技師ファン・ドールンは、日本の川を見て、「これは川ではない、滝だ」と言ったように、日本の地形は急峻で、森が消えるとたちまち崩壊してしまうのだ。
もし赤土が雨で海に流れたら、海藻やカキ、サンゴなど、移動できない海中生物は死滅するだろう。
スギを伐採しても、根株が残っているうちはまだいい。
もっとも危険なのは伐採から10年から20年後だ。
広葉樹は伐り倒しても、翌年には伐り株から萌芽が出て2次林を再生する。
これを「萌芽更新」というらしいが、わが家の小さな庭に生えていたネズミモチもそうだ。
おそらく、近くの山からタネが飛んで来たのだろう。
数年で直径胴センチほどにもなった。
近所から苦情があって切り倒したが、すでに2007年の春には萌芽が5本も出て、もう2メートルほどの高さになっている。
広葉樹は伐っても根株は生き続けるが、針葉樹は地上部を伐採すると根まで枯れてしまスギを皆伐した跡地に、林野庁がいう花粉の少ないスギを植えたと仮定しよう。
伐採しても根株が残っている間は、山の土砂をせき止めてくれるので多少は安心できる。
ところが、5年から10年ほどすると、根株は完全に腐ってしまう。
植林した若スギは樹齢5年なら、まだ直径5センチ足らずのひょろっとした樹幹だろう。
こんな若木では山の土砂は支えきれない。
大雨が降ると、伐採したとき以上に土砂が流失し、やがて森が消失することになりかねない。
スギ林を全部伐り倒したい気持ちはわかるが、そうすると国土が荒廃してしまうのである。
とはいえ、このまま放っておいても、やはりスギ林が倒壊して国士が崩壊する。
スギ林が倒壊して花粉が飛ばなくなれば、ぼくたち花粉症患者にはうれしいかぎりだが、それ以上の大災害に見舞われることになるだろう。
右を向いても左を向いても、出口は見えない。
林野庁の植林事業の失敗を、ぼくたちはどう修正したらいいのだろうか。
「恐るべき国土交通省の魔手」文化的な損失は別にしても、杉の単純林は多くの野生動物を死滅させている。
成長の早い用材林の落とす暗い影は下生えを枯死させ、鳥や鹿や兎や狸などの生息環境を破壊する。
杉林に足を踏み入れれば、生命の気配もなく静まりかえっているのに気づく。
草も低木も少なく、日本の自然林の特徴であるジャングルのような茂りもない。
地被植物を奪われた山の保水能力は低下し、山を流れ下る川は干上がっている。
杉を植林した土地は浸食が激しく、それが崖崩れや川への土砂の流入につながり、ついには恐るべき国土交通省の魔手。
花粉症は公害だが伸びることにもなるこれはRの「C」からの引用ではない。
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